「如何なる難関にぶつかっても
希望と勇気で立ち上がり前進するのだ」
これは、2022年12月8日付『熊本日日新聞』の「流転に生きる」で見つけた言葉です。
この言葉を書いたのは、蔡永昊(チェヨンホ)さん。ベルギーのブリュッセルで医師として働き、2022年8月4日、90歳を超えて亡くなられた方です。
日本人記者から「今の若者に言いたいことは?」と質問されたときに、うまく答えられず、改めて手書きの日本語で書き残されていたものだそうです。
蔡さんは、1930年頃、日本統治下の朝鮮半島、現在の北朝鮮側の農村で生まれました。日本語の学校に通い、太平洋戦争終戦後は勉強を続けられるようソウル近郊の親族宅へ行きました。1950年、朝鮮戦争が始まると帰郷するも、「捕まれば最前線の部隊に送られて犬死にだ」と安全な場所に逃避。しかし北朝鮮部隊の機関銃に打たれ海に飛び込みます。小舟に救われますが難破し、韓国・仁川にたどり着きます。警察からはスパイ扱いをされます。職を求めて転々とするうちに拘束され、韓国軍に入ります。その後、国連軍の米軍労働兵、ベルギー軍に移されます。1953年戦争孤児の状況調査に来たベルギー赤十字の通訳となり、調査団長の提案で軍機でベルギーに渡る。カトリック修道院の支援で翌年、大学の医学部に合格。無国籍のため、正式な医師になれず、補助医として何か国も渡り歩きます。その後、医師免許を取得し、1970年代から西ドイツのベルギー軍病院で医師として就職し、18年勤務。その間、同病院の看護師の女性と結婚。ブリュッセルで暮らし、同地で死去。自宅書斎の蔵書の大半は日本語だったそうです。
何とも表現しようのない前半生を過ごされた蔡さん。
その方からの、若者へのメッセージです。
蔡さんだからこその重みのある言葉に感じます。
2023年、1年のスタートにあたり、心に刻んでおきたい重い言葉です。
今年も色々あると思います。
それでも、「希望と勇気で立ち上がり、前進するのだ」!
さぁ、頑張ろう!