2026年4月16日木曜日

【個塾 4月の言葉2】おかえしー10年後の個塾生

2026年4月8日水曜日の夕方、
生徒と英文を読んでいると、
塾の扉をノックする音が聞こえました。
振り返ってみると、
そこには東京で働いているはずの
一人の女性が立っていました。
数年ぶりに見る彼女は、
ますますパワーアップしていました。
周りを明るくする、元気にする力がアップしていました。

そして、
「自分がやってもらったことを、おかえししたいから」と言いました。

これはその女性のお話です。

10年前の2016年夏、
彼女は塾を訪ねてきました。
高校2年生でした。
「高卒認定試験をとって大学に行きたい」と。

その年の4月、
大きな地震が2度起こりました。
家は倒壊しました。
途方にくれました。
自宅の跡地に行って涙も流しました。
通い始めて少し時間がたってそう話しました。

もともと理系だった彼女は、
工学部への進学を希望しました。
「医療機器に携わりたいから」が理由でした。

でも、
寝坊助でした。
午後からの通塾でしたが、
それでも起きれず休むこともありました。

受験生になる年、
パン屋さんで早朝のアルバイトを始めました。
生活リズムを変えるためでした。
アルバイトが終わればそのまま塾に来るはずが、
家に帰ってしまってぐっすり寝ることもありました。
スマホも何重にも包んで下駄箱に入れました。
そばにあると見てしまうから。
受験に向かう決意表明でした。

受験が近づいても、
模試の判定はよくありませんでした。
焦りや不安と戦いました。
自転車の信号待ちの間もノートを開きました。
顔つきも変わりました。

2018年1月、
センター試験が終わって国公立大学の受験校を決めるとき、
突然、
「医療現場で直接、誰かの役に立ちたい」と言い出しました。
ずっと抱えていた思いでした。
でも人と接することに不安がありました。
だから、
医療機器に携わることを通して誰かの役に立とうとしていたのでした。
言い出しきれなかっただけでした。

大学卒業後、
感染症にかかわる国立の医療機関で働き始めました。
水際で日本への感染拡大を防ぐことにも従事しました。
そんな中、
新たな目標ができました。
「いつか大学院で公衆衛生学を学んで、世界の人々の役に立ちたい」と。

それは教えてくれていました。
だから今回、
「仕事をやめて大学院に行くことになりました」と聞いたときは、
「お、ついに」と答えました。

でも違いました。
仕事をしながら当初考えていた方向への準備を進めているうちに、
もっともっといろんなことを学びたくなりました。
いろんな面から誰かの「幸せ」の役に立ちたくなりました。
これからは大学院でその研究です。

「でかいテーマに取り組むなぁ」と言うと、
彼女は、
「自分がやってもらったことを、おかえししたいから」と言いました。

彼女の原動力は、
「自分がやってもらったことを、おかえししたいから」です。
いつかそうなのかはわかりません。
知る限りこれまでもそうでした。
これから先もそうかもしれません。
「誰かの幸せに」どのように役立っていくのか、
楽しみにしたいと思っています。
そして機会があれば、
このブログでご紹介したいと思います。

彼女がこの時期に訪れてくれたのも何かの縁かと思い、
紹介させていただきました。

このブログを見てくれているみなさんへ

誰かにやってもらったことを、
誰かにかえす、わたす。

彼女の言葉の通り、
そのつながりで世の中は動いているのかもしれません。

みなさんは、
今はかえさなくてもいい。
今はうけとるだけでいい。
そう思います。
みなさんが生きていることで、
すでにかえしている、わたしているとも思います。

でも、
みなさんはそうは思ってないとも思います。

いつか、
誰かにかえせるように、渡せるように。
何をかえすのか、わたすのか、
どのようにかえすのか、わたすのか。
そのかえすもの、わたすもの、
そのかえし方、わたし方、
それが、
一人ひとりの個性であり、
一人ひとりの人生なのだと思います。

なにを、どのように。
なかなかわからないです、決められないです。
そうだと思います。

でも、
目の前のことをやり続けていれば、
いつかはわかります、決められます。
あせらず、あきらめず、です。